【東方新報】AI技術の発達に伴い、中国各地の行政部門では政策決定にAIを導入しようとする試みが盛んだ。法律分野でもAIの利用が進みつつある。

 海南省高級人民法院(Hainan Higher people’s court)刑事法廷の呉向東(Wu Xiangdong)副裁判長によると、同裁判所は全国の裁判所に先駆け、AI技術を裁判官の事案処理に最大限利用しているという。

 同省(Hainan)のAIを活用した量刑規範化システムには、ビッグデータ処理、自然言語処理、グラフ構造の知識データ、ディープラーニング(深層学習)などのAI技術が総合的に取り入れられている。

 システムは裁判官の審理過程に倣い、事案の重要要素を自動的に抽出。過去の判例を分析・応用し、判決書や関連法律文書などを作成する。このシステムは、独自に開発したグラフ構造法律知識ベースや自然言語処理プラットホームなど、10項目以上の特許を取得している。

「このシステムでは、各裁判所の量刑実施細則上の相違点、法律法規の調整・変更状況に応じてリアルタイムに更新している。単にAIを使うのではなく、AI技術と実際の法律業務が深く結びついているため、業務に適したシステム対応ができる」と呉副裁判長は話す。

 このシステムの開発に携わった北京智慧正安科技の李正才(Li Zhengcai)総経理は、「システム開発の過程で、海南省の多くの裁判官がAI、ディープラーニングのための大量の文書注釈作業に参加した。革新的なベイズ統計を応用して、裁判官の思考・業務習慣は変わらない状況で、刑事事案の量刑の効率と正確性を大幅に高めた。さらに裁判官の使用習慣に基づいて学習を続け、事案要素の自動識別・抽出の正確性を向上させていく」と説明する。

「午前中だけで3つの裁判を行い、それぞれ判決書を作成した。以前は想像もできなかった効率の良さだ」。海南省瓊海市人民法院(Qionghai people’s court)の王春豹(Wang Chunbao)副院長はこう語る。

 量刑規範化AI補助処理システムは、すでに海南省の全ての法院(地方裁判所級)で使用されている。これらの裁判所がまとめたデータを見てみると、裁判官の人数枠制限が打ち出されて以来、人手不足の状態になっている中で、同省の裁判官が量刑規範化事案を処理するのにかかる時間は約50%減、裁判記録作成時間は約70%減、手続き上必要な法律文書の作成時間は約90%減と、それぞれ大幅に短縮されたことが明らかになった。

 このシステムによって、「事案数は多いのに裁判官が少ない」という矛盾が解決され、また同じような事案でありながら異なった量刑がなされるという問題も避けられ、刑事事件を受け持つ裁判官の正確な処理の効率を高めることができた。「AI+ビッグデータ+スマート裁判所」の典型的な融合事例と言える。(c)東方新報/AFPBB News

※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。

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