同居していた女性(26)に熱湯をかけたり、ペンチで歯を折ったりする暴行を加え、全治約4カ月のけがを負わせるなどしたとして傷害などの罪に問われた、千葉県酒々井町の元エステサロン経営、小倉実里被告(28)と元会社員、高村良被告(29)に対する裁判が千葉地裁(平塚浩司裁判長)で開かれている。約5カ月に及ぶ暴行で女性の顔はバスケットボール大に腫れ上がっていたとされ、公判では両被告による暴行の数々が女性の証言などから明らかになった。(千葉総局 白杉有紗)

 検察側の冒頭陳述などによると、女性が自身の姉の友人だった小倉被告と知り合ったのは今から7年ほど前。一緒に旅行やカラオケに行くなど、姉妹のように親しい間柄となり、その後、小倉被告が経営するエステサロンで従業員として働くようになった。

 平成29年5月ごろ、女性は同居していた男性とけんかになり、帰る場所を失うことに。「一緒に住まわせてほしい」と頼む形で、千葉県成田市にあった小倉被告のアパートで同居を始めた。

 しかし、当初は順風満帆だった女性2人の同居生活は、小倉被告の交際相手の高村被告も同居するようになった29年10月ごろから暗転する。3人の間に険悪な空気が漂うようになり、交際関係にあった小倉被告と高村被告の間のけんかも絶えないようになった。

 起訴状によると、女性に対する暴力が始まったのは29年11月ごろ。「約束を守らないから」という理由で最初に手を上げたのは高村被告だった。

 最初は平手でのビンタが月に1回程度だったが、初めは守ってくれていた小倉被告も徐々に暴力に加担するようになり、自ら女性を殴ったり、蹴ったりするようになった。

 モノを使った暴行にエスカレートするようになったのは、3人が酒々井町内の一戸建て住宅に引っ越した30年3月ごろから。

 3人で休日に車で釣りに出かけたときには、「道案内をする」と約束していた女性が居眠りをしたことに高村被告が腹を立て、「嘘ばかりつくよね。口開けろ」などといって、車のトランクにあった釣り用のペンチで歯をつかんで折ったという。

 別の日には小倉被告が、お金を盗んだことを認めないといって腹を立て、「嘘をつく。人の話を聞かない」と口や耳などをペンチでつかみ、出血するほどの傷を負わせた。

 風呂の掃除をめぐってもめたときには、小倉被告が女性の額にポットの先を当てて3回にわたり熱湯をかた。女性の顔は赤く腫れ上がり、炎症を起こして膿が出た顔にファンデーションを厚塗りして傷を隠していたという。

 検察側は公判で、身体はやけどによる水ぶくれで服が着られないほどだったと指摘した。

 検察側の主張によると、2人は、病院の医師や自宅を訪れた警察官に対して「『自分でやった』って言え」と嘘をつくよう女性に強要。女性は証人として出廷した公判で、「『逃げたら(別の場所に住む)おまえの子供にも同じことをするからな』といわれ、子供を守りたい気持ちから逃げ出せなかった」と証言した。女性によると、借金返済を名目に給与は全て小倉被告に渡し、食事も与えられていなかったという。

 30年5月、近くのコンビニエンスストアを訪れたところを女性店員が「3カ月前から顔などを腫らした女性がいる」と交番に通報し、女性は保護。このほかにも突っ張り棒が折れるほどの力で体をたたかれたり、正座した状態で太ももに2~3回竹串を刺されたり、コードで背中をむち打ちされたりする暴行を受けていたといい、女性は左眼球の網膜剥離(はくり)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などと診断された。

 これに対し、小倉被告の弁護人と、高村被告の弁護人は公判で「互いが被害者を脅しているところも見たことがない」と主張。共謀についても「それぞれ単独で暴行を行ったもので、お互いの暴行は見たことがなく、話し合って暴力を振るったこともない」と一致して否定している。

 一方、女性は「熱湯を1人がかけ終わったら、もう1人にかけられた」「1人が暴力を振るい、『やめて』と叫ぶと『うるさいから黙れ』ともう1人が怒鳴ったりしていた」と法廷で証言。検察側は論告で共謀関係が成り立つと主張し、両被告に懲役7年を求刑した。

 「被害者は現在も日常生活に支障をきたしており、身勝手な動機に情状の余地はない」と訴える検察側と、「暴行の事実も一部認め、被害弁済も誓約している」として執行猶予付き判決を求める弁護側。判決は今月26日に言い渡される。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190611-00000516-san-soci&pos=1


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