被害に遭わないために、知っておくべき大切なこと
 夏になると、海水浴や釣りなどで海に足を運ぶ人は多いだろう。だが、自然の中の遊びだけに、危険が伴うことは忘れずにいたい。なかでも命にかかわる危険のひとつが、サメの襲撃だ。

非常にまれではあるものの、この100年余りでサメの襲撃は確実に増えている。

 米フロリダ自然史博物館がまとめている『国際サメ襲撃ファイル(ISAF)』によれば、2018年には世界で130件の事故が報告された。「1900年以来、人為的に誘発されたのではないサメの襲撃は、世界中で着実に増加している。どの10年間をとっても、直前の10年間より件数が多い」状況だという。

 では、サメの被害に遭わないためにはどうすればいいのか。知っておきたい点をまとめてみた。

人を襲うのはどんなサメ?
 サメの襲撃を調査しているフロリダ自然史博物館のサメの専門家ジョージ・バージェス氏によると、大型のイタチザメとオオメジロザメの2種は浜辺のすぐ近くでよく目撃され、ときどき人にかみつくことが知られているという。映画『ジョーズ』で不朽の知名度を誇るホホジロザメも、時折人を襲うことがある。

サメはなぜ人を襲う?
 事故の多くは「人が誘発した」ものだ。水中銃で漁をしているときや、サメを釣ろうとしたり、釣ったサメを釣り糸や網から放したりするときに人がかまれることが多い。人が誘発していないケースでは、たいていはサメの視力が悪いせいで、人をいつもの餌と勘違いする事故が最も多い。例えばサーファーは長時間を海で過ごし、しきりに水しぶきを上げる様子が餌の魚に似ているため、最も襲われやすい。

実際にサメが襲ってきたら、どうすればいい?
 同博物館によれば、サメの鼻を殴れば普通はそれ以上攻撃してこない。あとは岸へ逃げればよい。それが効かなければ、敏感な部位である眼とえらの開口部をひっかく。「攻撃を受けたら、受け身の行動を取るべきではない。サメは相手の体格と力を重視するからだ」と同博物館は話している。

サメに襲われる確率を下げるには?
 どこであれ、海で泳げば「野生生物と遭遇しうる」ことを忘れてはいけないとバージェス氏は注意を促す。サメに襲われる可能性はもともと低いが、さらに万一のことに備える方法はいくつかある。まず、サメの繁殖地とわかっている場所は避けるべきだ。

 サメの安全性を研究するクリストファー・ネフ氏は、荒天時やその後に海で泳ぐのは避けた方がよいと話す。海水がにごり、餌となる魚がかき回されるため、サメが盛んに餌を取ろうとするからだ。同じ理由で、日の出や日没時の遊泳も避けた方がよい。

また、漁師が魚の内臓を捨てている場所もサメが寄ってきやすい。サメへの餌やりもすべきではない。サメが混乱したり、人と餌を関連付けるよう学習したりする可能性がある。

その他の安全策は?
 サメは血に引き寄せられるので、開いた傷口がある場合は遊泳すべきではない。また、サメはもともと好奇心が強く、光る物体に寄ってくることもある。ネフ氏は加えて、1人で泳いだり、沖へ行き過ぎたりすることや、水しぶきをあまりに激しく上げるのもやめた方がよいと話す。「海で『ジョーズごっこ』をしていたら本当にサメが寄ってきたという事例はいくつもあります」

「サメよけ」はある?
 サメを寄せ付けないという模様を施し、シャチやミノカサゴにまで効くとうたうウエットスーツやサーフボードを多くの企業が販売しているが、こうした製品が本当に有効なのかどうかはまだ何とも言えない。

 ただし、磁石にはサメを遠ざける効果がある。「あまりにうまく行ったので驚きました」と言うのは、オーストラリア、ニューカッスル大学の海洋生態学者で、2018年に学術誌「Fisheries Reseach」に論文を発表したビンセント・ラウール氏だ。研究チームが長さ約8cmの強力な棒磁石を漁業用のカゴに取り付けたところ、中に入るサメが平均で30%減ったという。

 サメの頭には、獲物の筋肉に生じる微弱な電流を感知する器官がある。磁石は、サメのこの感覚を混乱させる。ラウール氏はこれを「ドアをあけた途端に強烈な悪臭に見舞われるようなもの」だと言う。「私たちが知るかぎり、動物にとっては非常に不快な刺激です」

長さ8cmの棒磁石ではさすがにサーフィンや海水浴のサメよけにはならないが、「オーシーズ保全財団(O’Seas Conservation Foundation)」のサメ学者で、ナショナル ジオグラフィック協会の支援を受けるクレイグ・オコンネル氏は、中に磁石を入れた長い塩ビパイプの柵で、より広い範囲で、ホホジロザメとオオメジロザメをよけることに成功している。

現在は、浜辺にサメが近づかないように網を設置するのが普通だが、サメをはじめ海の生きものが絡まってしまうのが欠点だ。オコンネル氏は、将来は自分たちの手法がこうした網に取って代わることを期待している。海は人間だけのものではない。いつか磁石を使ったサメよけが開発され、サメにとっても安全に、人々が海のレジャーを楽しめる日が来るかもしれない。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190817-00010001-nknatiogeo-sctch&p=2


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