全国の飲酒運転事故の4割が日中(午前6時~午後5時台)に発生し、その割合が年々増加傾向にあることが警察庁のまとめで判明した。厳罰化などにより飲酒運転事故の全体数は大幅に減っているが、夜間に比べ日中の減少幅が小さく、相対的に日中の割合が高まっている。昼間でも飲酒運転をするアルコール依存症患者や規範意識の低いドライバーが一定数いることが背景にあるようだ。

 警察庁によると、福岡市東区の「海の中道大橋」で、飲酒運転による追突事故で幼いきょうだい3人が死亡し、厳罰化の機運が高まった2006年には、全国で1万1627件の飲酒運転事故が起きた。このうち日中が3276件、夜間が8351件で日中の割合は28・2%だった。

 その後、全国の件数は毎年減り続け、昨年は3355件と06年の3割弱の水準になった。ただ日中と夜間に分けると、夜間(2077件)が75%減少したのに対し、日中(1278件)は61%減にとどまる。結果として、昨年は日中の割合が38・1%に上昇し、今年上半期は39・5%とほぼ4割に達した。

 3児死亡事故が起きた福岡県では、今年上半期に昼夜の割合が初めて逆転。県警によると、日中が39件、夜間が35件だった。日中の39件中32件(82%)は、運転免許の取り消し基準(呼気1リットル当たり0・25ミリグラム以上)に達するアルコール濃度が検出されるか、見た目で明らかな飲酒が認められた悪質な飲酒運転事故で、35件中24件(69%)の夜間よりも悪質割合が高かった。

取り締まりの強化や厳罰化(07年)に加え、悲惨な死傷事故が繰り返され、飲酒後の運転を控える意識が多くのドライバーに浸透したことで、夜間の飲酒運転は順調に減る一方で、昼間はビールを飲みながら運転するなど規範意識の低さやアルコール依存をうかがわせる事例も目立つという。県警の担当者は「昼間は歩行者や車両の通行量が多く、重大事故につながりかねない」と警戒する。

 飲酒運転の問題に詳しい小佐井(こさい)良太・愛媛大教授(法社会学)は「前日飲んだ酒が朝まで残るという知識が十分に浸透していない。また、アルコール依存の脱却には本人の自覚と専門的な治療が必要で、飲酒運転撲滅に向け行政が医療的支援の取り組みを強化する必要がある」と指摘する。【中里顕】

 ◇福岡市の3児死亡事故

 福岡市東区の人工島に架かる「海の中道大橋」で2006年8月25日夜、福岡市職員だった男の車に追突された乗用車が博多湾に転落。乗っていた一家5人のうち、1~4歳のきょうだい3人が水死した。飲酒運転をし現場から逃走した男には危険運転致死傷罪で懲役20年の判決が言い渡され確定した。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190825-00000038-mai-soci


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