【ソウル発】日米を動かすカードのつもりが 米は猛反発
 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は結局、 日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決定した。その22日の夜、 韓国大統領府は、「韓日間の信頼毀損による安保上の問題が発生したという理由で韓国をホワイト国から排除した日本側と協定を持続することは、国益に合致しないと判断した」とし、正式発表した。

 23日、大統領府安保室の金鉉宗(キム・ヒョンジョン)第2次長は、GSOMIA破棄の責任はすべて日本側にあると主張した。金氏は、徴用工裁判問題について文政権の再三の努力にもかかわらず、「日本は単なる拒否を超え、我々の国家的自尊心まで傷つける程の無視で一貫しており、外交的欠礼を犯した」と説明した。

 韓国メディアは、文政権が破棄決定を日本と米国を動かすカードとして使おうとしている見ている。

 文政権は22日にGSOMIA破棄を宣言したが、破棄は3か月前通告であるためで、協定終了日は11月22日だ。協定終了の前に破棄を撤回できるかに対する明示的な規定はない。そのため、文政権はひとまず「破棄」というカードを切り、日本の譲歩と米国の仲裁を引き出そうとしているというのだ。

 ニュースエージェンシーの「NEWSIS」によると、大統領府は、記者団に破棄決定について説明した席で、「今後日本が我々に対する不当な報復的措置を撤回し、韓日両国間の友好関係が回復される場合、GSOMIAを含めたさまざまな措置は再検討される可能性がある」と話したという。

 「中央日報」は、文政権がGSOMIAを破棄した理由を分析する記事で次のように説明した。

 〈GSOMIAを延長すれば、GSOMIAを(交渉)カードとして使えなくなるだけに、米国が反対してもカードで使い(破棄を宣言)、(日本との)問題を解決することも方法になり得るとの見方もあった。与党の重鎮議員は「外交部に米国によく説明せよ。米国との情報共有は相変わらずきちんと行うし、日本と問題が解決されれば、GSOMIAも回復するときちんと説明するがいい」と話した〉

 文政権はGSOMIAの破棄を発表しながらも、「米国側に事前に知らせ、米国側も(韓国の決定を)了解した」と話した。しかし、発表時刻が真夜中だった米国は、夜が明けるやいなや、韓国大統領府のこのような主張を全面的に否定した。

 米国務省や国防総省は現地時間の22日、韓国政府のGSOMIA破棄の決定に対し、「文政権に強い懸念と失望を表明する」という立場を明らかにした。カナダを訪問中だったポンぺオ国務長官も現地時間の22日、「私たちは韓国が情報共有協定に関して下した決定を見て失望した」と述べている。

 米国の強い反発について、韓国の保守系メディアはGSOMIAの破棄で、ついに米国政府の文政権に対する不満が公になったと分析した。

 朝鮮日報は、「米国が公式論評で、ROK(韓国)ではなく、文政権と呼んだこと自体が非常に異例だ」と指摘し、「(GSOMIA破棄は)文大統領の決定というところに焦点を当てるためのもので、それだけ米国が文大統領と大統領府に強い不満を持っているという意味」という米政府高官の言葉を引用した。

 同紙は、また、韓国大統領府がGSOMIA破棄について米国が理解したと説明したことについて、「トランプ政府高官は嘘だ(lie)と言い、明らかに事実ではない、ここ(駐米韓国大使館)とソウルの外交部に抗議したと述べた。Lieという表現を使ったことも極めて珍しい」と書いた。

 中央日報は、米国について次のように説明した。「米国の反応が徐々に(批判の)強度を高めたのは、ホワイトハウスと政府省庁間の調整過程で、(韓国)大統領府がGSOMIA終了ブリーフィングで、米国は今回の韓国政府の決定を理解していると述べたことに対する強い不満が働いたという分析が出ている。複数の関係者はこの過程で(韓国)大統領府が事実と異なる発表をしたという不満が共有されたと伝えた」

 東亜日報は、韓国外交部がポンぺオ長官の発言に対する憂慮を表したと伝えた。「失望したという発言など、ワシントンから直接的な不満が相次ぐことで、韓国外交部からは、一度も聞いたことがない不満の声がでたという話が出るほど、当惑する雰囲気だ。元外交部高官は(失望したという言葉は)事前に疎通していたら、同盟間では出られない外交的な言辞だと述べた」

 一方、政権寄りの新聞は、不満を露にした米国の態度を問題視した。

 ハンギョレ新聞は、米国の態度を、「同盟の間で意見の相違に対する不満をこのように公開で表したのは異例だ」と指摘しながら、「日本が歴史問題について次元の違う経済面で報復を行った時、米国は何の批判もしなかった。私たちが日本の措置に対抗する措置を取ったことについて云々することは、同盟国としての信頼を損ねることだ」とする専門家のコメントを引用し、米国を間接的に非難した。

 京郷新聞は、社説で米国はGSOMIA破棄を契機に日韓摩擦に積極的に介入すべきだと注文した。「韓国民は、米国が情報保護協定の破棄に対する不満を同盟国の韓国に対する圧力につなげるのではないかと懸念している。米国は今回のことをテコに、防衛費分担金の引き上げやホルムズ海峡派兵などを解決しようと圧力をかけてはならない。さらに米国も韓日摩擦を放置するのではなく、より積極的に介入する案を真剣に考えなければならない」

 政権寄りの聯合ニュースも、「米国が積極的な役割を避けてきたため事態の悪化をあおったのではないかという指摘が出ている」とし、「米国が韓国の被害にはそれほど関心を示していなかったのに、米国の利益がかかっているGSOMIAの終了にカッとなっているという指摘がある」と、米国を非難した。

 日本と米国はもちろん、韓国の専門家やメディアの予測をも覆し、文政権はGSOMIAを破棄した。その背景には、文政権と韓国人の「反日感情」が大きく作用した。

 ところが、この反日感情は、もはや取り返しのつかないほど悪化した日韓関係を越え、米韓関係にまで影響を与えてしまった。予想できなかった米国の反発を、文政権はどう乗り越えるつもりなのだろうか。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190830-00010001-socra-int


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