【シンガポール=森浩】南シナ海をめぐり、中国とベトナムの対立が激化している。埋蔵資源を狙う中国の地質調査船がベトナムの排他的経済水域(EEZ)内で繰り返し確認され、ベトナム政府が抗議。中国との摩擦が続く米国も中国批判に乗り出すなど、事態は混迷の度を増している。

 両国間の緊張が急速に高まったのは、7月以降だ。複数の報道によると、7月3~14日、中国の海洋調査船「海洋地質8号」が、ベトナムのEEZ内に進入し、スプラトリー(中国名・南沙)諸島西側のバンガード堆(同・万安灘)近くを航行。ベトナム海軍の船舶とにらみ合った。

 その後、海洋地質8号は海域を離れたが、8月にも現場周辺での航行が確認されている。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は海洋地質8号が海底約3万5千平方キロを調査したと報じた。

 ベトナムは現地でロシア企業とともにガス田開発に乗り出しており、中国の動きは看過できない。ベトナム外務省は「中国の度重なる違法行為に抗議する」と反発。米国も中国がベトナムの資源開発を妨害しているとし、2度に渡って「いじめ同様の戦術では隣国の信頼も国際社会の尊敬も勝ち取れない」などと批判する声明を発表した。

 中国は「中国船は中国が管轄する海域で作業している」(耿爽報道官)などと反論している。中国船のベトナム近海での活動は止まらず、今月3日には、中国の国有石油・天然ガス企業「中国海洋石油」の大型クレーン船「藍鯨」がベトナムのEEZ内で航行しているのが確認された。

 両国は2014年5月、ともに領有権を主張するパラセル(同・西沙)諸島そばで中国が油田掘削を行ったことで対立が先鋭化。両国の船舶同士の衝突が発生し、ベトナム国内では反中デモも展開された。

 SCMPは今回の事態を「14年以来最悪の対立」と表現。「ベトナム政府はこの問題について国連に提起するなど、国際化させる可能性がある」と報じており、事態の沈静化は見通せない状況だ。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190910-00000568-san-asia


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