タイ南部のヤラー県で、裁判官が法廷で被告らに無罪判決を言い渡した後に自らを拳銃で撃ち、社会に衝撃を与えている。タイの司法制度が抱えているとされる問題点にこの裁判官は悩んでいたとみられ、そうした問題の改善を求める声が強まっている。

 10月4日、ヤラー地方裁判所の法廷。カナーコーン裁判官は、殺人などの罪に問われていた5人のイスラム教徒の被告に対し、十分な証拠がないとして無罪を言い渡した。

 昨年6月、ヤラー県で5人が撃ち殺された事件で、警察が約2カ月後に5人を容疑者として逮捕。うち3人が殺人罪などで、2人がそれを幇助(ほうじょ)した罪などで、起訴されていた。

 仏教徒が多数派のタイでは、ヤラー県を含む最南部で分離独立を求めるマレー系イスラム教徒の武装組織と治安当局が対立を続けており、テロも相次いでいる。その中で、治安当局が拘束したイスラム教徒の容疑者らに自白を強要しているとの指摘や、裁判所が不十分な証拠のまま有罪判決を下しているとの批判が、人権活動家などから出ていた。

 カナーコーン氏は法廷で準備していた声明を読み上げた後、自分の胸に向けて拳銃の引き金を引いた。すぐに病院に運び込まれ、一命を取り留めた。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191020-00000025-asahi-int

朝日新聞デジタル


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