【ソウル=岡部雄二郎】韓国統一省は7日、日本海を漂流中に拿捕(だほ)した北朝鮮のイカ釣り漁船に乗っていた20歳代の男2人が、漁師仲間16人を相次いで船上で殺害した疑いが強まったとして、北朝鮮側に強制送還したと発表した。過酷な仕事を強いる船長に不満を募らせ、本人を殺害した後、口封じのために他の船員も襲撃し、遺体を海に遺棄したという。

 統一省の発表や国家情報院の国会報告によると、男2人が乗った船は11月2日、海上の軍事境界線にあたる北方限界線(NLL)の韓国側で韓国海軍に拿捕された。韓国政府の調査に対し、16人の殺害を自供した上で亡命を求めたが、凶悪犯を受け入れれば国民生活に影響が生じるとして韓国側は拒否し、軍事境界線上の板門店(パンムンジョム)を通じて7日に北朝鮮側に身柄を引き渡した。

 男2人は10月末頃、別の船員1人に「船長を殺そう。豚を殺すようにやればいい」などと持ちかけ、犯行に及んだ疑いが持たれている。3人は共謀して船長を殺害した上で、当直の交代を装って約40分に1度の間隔でほかの船員たちを甲板に呼び出し、斧(おの)やハンマーで順番に襲撃したという。一晩で犯行を終えた後、北朝鮮に戻り、漁で取れたイカを売ろうとしたところ、1人が北朝鮮当局につかまったため、残り2人が船で韓国側に逃れてきたという。

 韓国政府関係者は記者団に対し、「今回のような(北朝鮮の)凶悪犯罪者を追放するのは初めてだ」と語った。供述以外の物証があるのかどうかは明らかにしなかったが、「情報機関も加わり、疑いの余地がないほど調査した」と述べた。

 北朝鮮は最近、経済制裁に対抗する外貨稼ぎの一環として漁業に力を入れている。10月7日には北朝鮮の漁船が日本の水産庁の漁業取締船と日本海上で衝突し、沈没するなど、漁業を巡るトラブルが起こっている。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191107-00050223-yom-int

読売新聞オンライン


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