中国政府は2015年7月9日、人権活動家を300人以上も連行した。3年半後の2018年末、北京で4人の女性が頭を丸刈りにしてデモを行った。いわゆる「709検挙」当時に失踪し、生死さえも分からなくなった人権弁護士の妻たちだった。中国語で法が通用しないという意味の「無法」は、髪の毛がないという「無髪」という単語と発音が同じなのだ。これら妻たちが政府の無法に抗議する意味で頭を丸刈りにしたのだ。

 北京で弁護士として活動していた30代の陳秋実氏は昨年8月に香港入りし、デモ隊の映像を直接撮影してインターネットにアップするほど情熱あふれる市民記者だった。この熱血あふれる若者が、最近伝染病の猛威を振るっている武漢に渡り、その様子をこまめに撮影。動画をアップしていたところ、突然姿を消してしまった。知人が陳秋実氏の携帯電話に電話をかけたところ、初めは呼び出し音が鳴ったものの、突然切れた。家族たちは、政府から「隔離された」との一方的な説明を受けたにすぎないという。

 現在中国政府は、武漢肺炎の感染者だけを隔離するのにとどまらず、現地で現状を知らせたり、政府を批判したりする人々までも隔離している。武漢病院の前にある自動車に死体が布に包まれた状態で運び込まれるのを撮影し、ネット上にアップした市民記者の方斌氏も2月10日午後、政府当局に連行されて以来、消息を絶っている。習近平国家主席の「国家主席連任制限廃止」を真っ向から批判し続けてきた清華大学の許章潤教授も、数日間にわたって連絡が途絶えたままだ。許教授の中国版ツイッター「ウェイボ(新浪微博)」にあった書き込みも削除されたほか、通信アプリのメッセンジャーも凍結されたままだ。習国家主席は、武漢肺炎を巡る事態を「政治、社会的安定と直結した問題」と規定。幹部らに「ネット上のメディアを徹底的に統制し、世論をリードしなければならない」との指示を下した。

 中国は高度成長を繰り返し、経済規模では世界2位にのし上がったものの、人権と言論の自由は依然として世界最下位クラスから脱することができていない。フランスの人権団体「国境なき記者団」が発表した言論自由指数の順位で、中国は180カ国のうち177位を占めている(2019年)。国際人権監視団体「フリーダム・ハウス」が付けた中国の言論自由指数は、北朝鮮と同じく最悪の「0点」グループに分類されている。同じ評価で米国は最高点である「4点」、韓国は「3点」のグループに属している。

 米国で活動する中国人権団体「CHRD」によると、今回の武漢肺炎と関連し、「デマをまき散らした罪」で処罰されたり警告されたりした人々は中国で実に250人を超えるという。一番最初に武漢肺炎の危険性を世間に知らせた医師も「デマ流布者」として処罰された。中国とはこうした国だ。武漢肺炎をここまで拡大させておきながら、ウイルスの遮断よりも「政府を批判する国民の口」をふさぐことの方が、よほど重要なのだろう。

カン・ギョンヒ論説委員

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200225-00080182-chosun-kr

朝鮮日報日本語版


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