「日本のみなさん、一緒に頑張りましょう」。日本に対して厳しい姿勢を取ることが多かった中国外交部(外務省)の華春瑩(フア・ツンイン)報道官が、ツイートした日本語の投稿が話題になりました。投稿に目立っていたのは、「救患若一、所憂同也」という漢詩です。新型コロナウイルスをめぐって、助け合いの空気が生まれている両国。同じ漢字文化の国同士として「漢詩」を通じた交流が続いています。

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華春瑩報道官は、かつて厳しい顔がトレードマークでした。パンダの「香香」(シャンシャン)を日本の外務省の杉山(ShanShan)事務次官と勘違いした時、笑ってしまったことがニュースになるほど、いつも緊張感あふれる会見を取り仕切っています。

そんな華報道官は、中国の国内では使えないツイッターを2019年10月から開設。英語で発信してきました。そして、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、3月1日に、韓国語と日本語で次のようなツイートをしました。

「救いを待つ人がいれば、それを助けたいという思いは同じです。同じ試練に立ち向かう日本(韓国)の皆さん、中国からの気持ちをお受け取りください。共同加油!一緒に頑張りましょう!」

日本語のツイートには「救患若一、所憂同也」という漢文の一節が入りました。日本からの支援物資に書かれた漢詩

華報道官のツイートにある「救患若一、所憂同也(ジュウ・フアン・ロー・イー、スオ・ユー・トン・イェー)」は、春秋時代の書物と伝えられる『鄧析子・無厚篇』の一節です。

同じ書物にある「同舟渡海、中流遇風」という前文と合わせると、「同じ船に乗り、海を渡り、途中で風浪に遭い、みんな同じことを心配しているため、助け合い協力して困難を乗り越える」という意味になります。

この漢文が選ばれた背景には、日本から中国へ届けられた支援物資に書かれていた漢詩を受けたものと思われます。

支援物資には「山川異域、風月同天」(私たちが暮らしている場所、山や川などが違いますが、同じ風を受け、同じ月を見て生きています)と書かれていました。

その他、「豈曰無衣?与子同裳」(衣服がないと言わないで、私の服はあなたの服だ)や、「青山一道同雲雨、明月何曾是両郷」(青山がつながり同じ風雨を受け、頭上の明月も一緒のため、違うところ身を置くことを感じていない)、「遼河雪融、富山花開。同気連枝、共望春来」(遼寧省の雪が溶け、富山の花が咲きほこる。気持ちが通じ合う兄弟が、一緒に春の到来を待とう)などの漢詩もありました。

中国の古典や、日中の交流の中で生まれた詩文が引用された心遣いは、中国の人々に多くの感動を与えました。

意外なところにも漢文 「隗(かい)より始めよ」

漢詩の効果は、思わぬところでも生まれています。

北海道の鈴木直道知事が、新型コロナウイルスの対応で小中学校の休校を要請した際、道の姿勢について「隗(かい)より始めよ」という言葉を使いました。

実は、「隗より始めよ」は『史記』の「請自隗始」(チン・ズ・ウエ・シゥ)に出てくる言葉としても知られています。鈴木知事の発言は、中国の人々にとって「漢文の造詣が深い日本人」の姿として映り、SNSなどで評判になりました。

華報道官は3月8日、「霧尽風暖、桜花将燦」(吹く風に温かさ知り花近し)という漢文を記した後、日本語で「吹く風に温かさ知り花近し 憂いのない春を一緒に迎えましょう!」とツイートしました。

このような両国の交流を受け、中国のSNSでは、「われわれも漢文や漢詩をもっと勉強しないと」という声が上がっています。漢文や漢詩を通したやりとりは、新型コロナウイルスがもたらした意外な「副作用」としてお互いの結びつきを強めているようです。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200309-00000002-withnews-cn&p=2

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