患者や医療従事者ら計36人が新型コロナウイルスに感染した神戸市立医療センター中央市民病院(同市中央区)が7日、院内感染の経路や原因をまとめた調査報告書を公表した。コロナ患者から複数の看護師に感染し、連鎖的に医療従事者や患者らに拡大したと推定。複数の感染経路があり、拡大原因として気密性の高い「N95マスク」の節約や、感染患者の看護師と非感染患者の看護師の接触などを挙げた。また、感染した患者7人のうち3人が死亡したことも明らかにした。

4月5日に発症した看護師は、感染者病床と一般病床の両方があるA病棟で勤務。ベッドから起き上がって徘徊しようとしたり、床に排尿したりするコロナ患者のケアを続けたという。防護具を装着していたが、接触する時間が長い上、容体の悪化で看護の必要度が高くなり、報告書は「防護に破綻が生じた可能性がある」としている。ほかの看護師もコロナ患者から感染した恐れがある。  A病棟では、4月5日発症の看護師と接触があった一般病床の入院患者も感染した。この患者は、意識障害を起こして混乱する「せん妄状態」になることが多く、日中はナースステーションで過ごした。PCR検査でウイルス量の多さが分かっており、大声を上げていたことから複数の看護師らに感染したとみられる。  また、ある医師は重症のコロナ患者に長時間対応。急きょ気管挿管する際、曇ったゴーグルを拭ってウイルスが付着した可能性があるという。このほか複数の患者と看護師らは経路が特定できなかった。  報告書はマスクの使用方法にも言及。安全性の高いN95マスクは、市場で不足していたため、各種ガイドラインに照らし合わせた上で看護師らが使用しないケースがあった。院内感染発覚前は、患者にもマスクをさせていなかったという。  木原康樹院長は「当時の知識では、エーロゾル(霧状の微粒子)の危険性も十分に把握しておらず、院内感染を防げなかった。経験を踏まえ、情報公開も徹底して再発を防がないといけない」と話した。  また報告書は、感染者と非感染者の厳格な分離が必要と指摘し、今後の対策として「患者受け入れ専門の感染症病棟の建設が有効」とした。神戸市は中央市民病院の駐車場にコロナ重症者専用の臨時病棟の整備を進めており、花田裕之健康局長は「10月下旬には完成させたい」と話した。また、臨時病棟に重症度が高い患者が多く入った場合に備え、市民病院群の他病院から職員を補充することも検討していると明かした。 (霍見真一郎) 【神戸市立医療センター中央市民病院の院内感染】 兵庫県内3カ所の治療拠点の一つ「特定病院」として県が指定。神戸市内初の陽性患者を3月3日に受け入れて以降、7月13日時点で104人の感染者を治療してきた。だが院内感染が起き、患者、医療従事者ら36人が感染した。自宅待機の職員は延べ349人に上り、救急、外来、手術を一時的に原則停止していた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/b9225662e7bc29a095943c9c98aa76d7bad190df

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