トランプ米政権は14日、ロシア製地対空ミサイル「S400」の導入を進めるトルコに対し制裁を発動させた。ともに北大西洋条約機構(NATO)加盟国である米国とトルコの関係が、一段と悪化する恐れがある。 トルコは制裁発動を「深刻な過ち」と非難し、「不当な決定」を見直すよう米政府に求めた。また、両国の関係が損なわれるのは不可避とし、対抗措置を取る構えを示唆した。具体的には踏み込まなかった。 制裁はトルコ大統領府傘下の国防産業庁(SSB)、およびその責任者のイスマイルデミル氏と幹部3人を対象とするもの。 「敵対者に対する制裁措置法(CAATSA)」に基づく措置で、NATO加盟国に適用されるのは初めて。 米政府がより広範な制裁に踏み切らなかったことを受けて、トルコリラは約1%上昇した。だが、アナリストは、トルコ経済が新型コロナウイルス感染拡大で圧迫を受ける中、今回の制裁措置は一段の重しになるとの見方を示している。 関係筋によると、トランプ大統領は側近の助言に反して制裁発動を踏みとどまってきたが、数日前に発動を許可した。 ポンペオ米国務長官は「ロシア製ミサイルの導入は米国の軍事技術と人員の安全性を危険にさらし、ロシアの防衛部門に大きな資金をもたらすと、米国はトルコに対し繰り返し最高レベルで明確に伝えてきた」と述べた。 クリストファー・フォード国務次官補(国際安全保障・不拡散担当)は記者会見で、米政府は解決策を模索したが、トルコ側が全ての提案を拒否したと説明。「安易に、もしくは急いで講じた措置ではない」と述べた。 トルコは、問題解決に向けて米国やNATOと共同作業グループを設置することを繰り返し提案したものの、提案は十分に生かされなかったと主張している。 トランプ政権末期での制裁発動は、トルコとバイデン次期米政権との関係に重くのしかかる可能性が高い。 元トルコ外交官で現在はイスタンブールのシンクタンクを率いるSinan Ulgen氏によると、制裁によって、SSBとつながりのあるトルコ企業と米企業の間の合同事業や技術移転が制限される。 米金融機関が、SSBに総額1000万ドル超の融資や信用供与を行うことも制限される。SSBトップと幹部3人は資産凍結やビザ(査証)制限の対象となる。 トルコの防衛企業に武器や防衛部品を供給し協業する欧州諸国など第三国への影響は、現時点で明らかでない。 ジャーマン・マーシャル・ファンドのOzgur Unluhisarcikli氏は「トルコの防衛産業は、しばらく圧迫を受けるだろう」とし、「2次的な制裁の側面があるかどうかにかかわらず、第三国にも委縮効果が及ぶだろう」と述べた。 一方で、経済全体への打撃はそれほど深刻にはならないとし、長期間漂っていた不透明感が取り除かれたのは好ましいとの見方を示した。

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ロイター


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