コロナ禍の世界の「救世主」と期待されるワクチンの接種が英国を筆頭に、世界各国で進められている。ところが韓国の文在寅(ムン・ジェイン)韓国政権は、事実上、ワクチンの確保に失敗した情況が明らかになり、大ピンチに立たされている。 韓国が「反日・親北」に走る原点。日本人カメラマンが激写した、現在のリーダーたちが参加していた1980年代後半の韓国学生運動の様子【写真10点】 ■ 「4400万人分確保」と発表しながら、契約済みは1000万人分のみ  12月8日、韓国の保健福祉部は緊急記者会見を開き、韓国が4400万人分のワクチンを確保したと発表した。  記者会見直前に保健福祉部が配布した報道資料「政府、新型コロナワクチンを最大4400万人分確保」の一番上には、<COVAX Facilityを通じて1000万人分(2000万回分)確保、アストラゼネカなど4つのグローバルワクチン企業を通じて最大3400万人分(6400百万回分)先購入、第1四半期から国内導入後の迅速な接種施行のための事前準備及び汎政府対応体系構築も推進>などの要約内容が、太い文字で書かれていた。  しかし、資料を詳しく読むと、韓国政府が現時点で「契約完了」したワクチンはアストラゼネカの1000万人分だけで、残りの3300万人分に対しては、「拘束力のある購買約款」を締結したと書かれている。言い換えれば、「正式契約はまだ締結されていない」のだ。  また、2021年の第1四半期に、どんな種類のワクチンが、どれくらい供給されるかについては書かれておらず、最も肝心な接種時期についても、「支障なく準備中」と明記されているのみ。結局、いつから接種が可能かについては一切言及しなかったのだ。  タイトルと内容とが一致しない報道資料に違和感を覚えた韓国メディアは、独自の取材を通じて文政権のワクチン需給状況に関する悲観的な記事を次々と吐き出した。  <韓国が確保した唯一のワクチン、アストラゼネカの年内FDA承認が不透明>(中央日報12月10日)  <英国は来年4月、コロナを克服して正常に戻ると自信を持つ。そのころ韓国は接種を始めることもできない可能性がある>(中央日報12月10日)  <与党はワクチンの確保もしていないのに早期接種の言及・・・政府は新しい対策もなく・・・文氏はK防疫だけを強調>(朝鮮日報12月14日)  <約30カ国がワクチン接種とともに新年を迎えるが、韓国はやっと契約締結を推進>(ヘラルド経済12月18日)  <政府が本音を吐いた! 年内にモデルナ社との契約は不可能>(朝鮮日報12月18日)  <“アストラゼネカのワクチン、来年2~3月に供給”・・・契約書には明記されず>(東亜日報12月19日)  <ワクチン、遅ればせながら確保を急ぐが・・・来年第2四半期も大量供給は不透明>(東亜日報12月19日)  <“1000万人分”と言ったはずのアストラゼネガ・ワクチン、来年2月に75万人分を導入>(中央日報12月22日)  <人口対比ワクチン確保、韓国はOECD37カ国中34位>(中央日報12月23日)

野党の波状攻勢も続く。最大野党「国民の力」は、かつて「人が先だ」という文在寅大統領の大統領選挙スローガンをあざ笑うかのように、「ワクチンが先だ」というスローガンを掲げて、文在寅政権の「K防疫」を集中攻撃した。  「(K防疫のために)1200億ウォンの広報費を使ったのに、防疫も大失敗、ワクチン確保も大失敗という災いを招いた」(朱豪英[チュ・ホヨン]院内代表)  「文在寅政府の無能が(K防疫ではなく)『K葬儀』を広報してしまったという嘲弄まじりの民心がある。政府はワクチン確保の真実について語っていない。本当に確保したものか」(キム・ソンウォン院内首席副代表)  「日本はモデルナと5000万回分、ファイザーと1億2000万回分のワクチンを供給してもらうことで基本合意したという。文在寅政府は『二度と日本に負けない』と誓った約束を必ず守れ」(趙慶泰[チョ・ギョンテ]議員) ■ ワクチン確保に楽観姿勢を示した一月後に、「すでに物量がなかった」  政権関係者の歩調が合わない説明も、国民にワクチンに対する不信感を与えるのに一役買った。  11月17日、朴能厚(パク・ヌンフ)保健福祉部長官はワクチンの需給状況について、「一般的な予想とは異なり、むしろ(ファイザーとモデルナ)両社から、韓国と早く契約を結びたいと言ってくる状況だ。ワクチン確保において不利ではない環境にある」と自信をのぞかせた。  しかし、それからわずか1カ月後の12月20日、丁世均(チョン・セギュン)首相は、「ワクチン購買交渉に入ったが、すでに物量がなかった。ファイザー、モデルナ、ヤンセンらとは契約が目前だが、来年第1四半期の供給について約束を取り付けたわけではない」と打ち明けた。  ここで「早期のワクチン確保」が絶望的状況にあることが白日の下に晒されることになった。  ワクチンの確保失敗についての大統領の責任論が沸騰し始めると、大統領府は、わざわざ報道資料を出して、「今年の4月から文大統領はワクチンの確保を重ねて指示していた」とし、文大統領に対する批判をかわそうとした。  しかし、大統領府が報道資料で例示した文大統領のワクチン関連指示は、韓国産ワクチンの「開発」に焦点を合わせたのが大部分だった。

 これについて「韓国日報」は、次のように分析した。  <新種コロナウイルス感染症ワクチンの導入が遅れているのは、政府が「独自ワクチンの開発」に重点を置きすぎたあまり、「海外ワクチンの導入」という「プランB」をより積極的に稼動しなかったせいが大きいという情況が確認できた>  <文大統領の「海外ワクチン確保」メッセージは、すでに主要国の「ワクチン確保戦争」が終わった9月以降から本格的に出された。今月から接種を開始した国々が、すでに7月や8月からワクチン購入契約を開始したのとは対照的だ>(「ワクチン開発だけを指示した文大統領、9月になってようやく『ワクチン確保』を」) ■ 責任転嫁の厚顔  ワクチン問題でメディアや野党からの非難が殺到すると、大統領は責任転嫁を図るようになる。  保健福祉部は23日、「現行法上のワクチンの購入決定とその契約手続きに関する措置は疾病管理庁長が行う。したがって、疾病管理庁がワクチン購入に対する最終決定権を持っている」と説明した。ちなみに疾病管理庁は、保健福祉部傘下の疾病管理本部が9月から「庁」に昇格した組織で、コロナとの闘いの最前線で活躍した鄭銀敬(チョン・ウンギョン)氏が庁長を務めている。つまり保健福祉部は、主要先進国のワクチン確保が終わった9月に発足したばかりの新設組織に購買失敗の責任を押し付けて、大統領を援護射撃しているのだ。  大統領府も「文大統領が13回もワクチンを確保するように指示した」と強調している。しかし、それが本当なら大統領の指示に内閣が従わなかったことになるので、政権のレームダックを認めてしまうような格好になってしまっている  この状況に与党はどうのような態度を示したか。  李洛淵(イ・ナクヨン)代表をはじめとする与党「共に民主党」は、「ワクチン騒動は野党やメディアのせい」と主張した。  「重大な時期に野党や一部マスコミは根拠のない怪談や歪曲された統計を動員し、国民の不安を助長している」(李洛淵代表)  「危機の本当の原因は、危機に追い込みたがり、K防疫の神話を壊して文政権をがけっぷちに追いやりたがっている偽善者たちの欲望」(尹永燦[ユン・ヨンチャン]議員)  こちらは野党やマスコミに責任転嫁をしようと躍起になっているのだ。

■ 挙句にワクチン接種の危険性を煽り出す政府  行われているのは責任転嫁だけではない。  保健福祉部は、ワクチンの副作用の報道資料を作って配布した。18日、ワクチン確保の現況と接種計画案を発表する際、メディアに紹介されたワクチンの副作用を2ページにわたって詳細に紹介したのだ。これに呼応するように、金泰年(キム・テニョン)院内代表も、「ワクチンの安全性検証が重要だ」とし、「米国ではワクチン接種後の顔面麻痺など副作用に関する報道も出ている」と強調した。  このようにワクチンの危険性を強調するのも、「ワクチン確保」に失敗した文在寅大統領への批判を和らげたいからだろう。  政権や与党のこうした行動に対し、専門家らからは「今後ワクチンに対する不信感を高め、後遺症を生むだろう」との警告を相次いでいる。  K防疫について自負心を持っていた韓国国民も、ワクチン問題については文政権に批判的な世論が高い。  世論調査機関リアルメーターの22日の世論調査では、「安全性を検証してから接種するべき」との意見が41%、「1日も早く接種を受けるべきだ」との意見が55%であった。21日のデータリサーチの世論調査では、「韓国政府のワクチン接種日程が遅い」(63%)という意見が、「遅くない」(35%)という意見を大きく上回った。  文在寅政権の支持率は一部では「コロナ支持率」と揶揄されるほど、コロナ対策はそれまでの全ての不祥事を不問にし、政権を支持する最も強い根拠となっていた。今年4月に行われた総選挙では、政権と与党はそのコロナの恩恵を十二分に享受した。  ところが、来年4月のソウルと釜山(プサン)の市長選挙を控えたこの時期に、コロナ対策の不備が政権の足を引っ張っている。一時のK防疫の成功に酔いしれ、その後の対策で手を抜きまくっていたツケが、今になって回ってきた。

李 正宣

https://news.yahoo.co.jp/articles/af576141141ccd9758ae322eb8fee4c670d3ff5c

JBpress

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