
2020年は韓国でも新型コロナウイルス感染症に引き回された一年だった。 師走が押し迫っても、5人以上の集合禁止令が敷かれ、忘年会なども自粛ムードだった。 しかし、株式市場では配当落ち(29日)になる前に配当金を狙って買いに走る人たちや、大株主確定(1銘柄当たり10億ウォン分以上の所有者)になるまいと権利落ち日前に売りに出る人たちでごった返した。 ちなみに年末基準で1つの銘柄を10億ウォン(約1億円)以上保有していると2021年に売却した場合の譲渡益に関して最低20%の譲渡税を支払うことになる。 10億ウォン以下の場合は、そういった譲渡益に対しての税金がかからないため、大株主要件に引っかからないよう権利落ち日になる前に売りさばくのである。 また、ドル安ウォン高により、エマージングマーケットに目を向け始めた投資家たちのお金が韓国の株式市場にも流れ、韓国で最も安全なサムスン電子株をはじめ、韓国の優良株を買い漁り、韓国の株価指数は最高値を更新し続けている。 さて、こうした株の大ブームの中、不動産市場は24回にも及んだ不動産関連法の改悪の結果、不動産価格は下がるどころか高騰。一方で売買は減り、不動産に流れるはずのお金まで株式市場に投入されたようだ。 個人投資家たちは12月29日の1日だけで2兆ウォンを超える株を買った。今年全体でみれば、個人は60兆ウォン近く買ったことになる。 こうした株ブームは、子供たちお小遣いの世界まで変えてしまった。
子供名義で口座を開設し、株を買い与える親たちが急増しているのだ。 株に対する認識が「危ない金融商品」から「子供たちの将来のための長期投資手段」へと一変したためである。 コロナ禍が始まる少し前から、証券業界では韓国の歪んだ教育熱を批判し、「そこまで子供の教育に大金をつぎ込むなら、自分の老後のために株を買ったり、子供の将来のために株を買う方がいい」と主張する人がいた。 その人たちの主張によると、韓国の教育熱は子供たちの想像力を軽減させ、親の老後資金も貯まらなくする。 だから、韓国には破天荒なスタートアップが育たないなどと耳の痛いことを言って、韓国人の金融リテラシーの低さを諫めている。 金融リテラシーの低さを語る時には、必ずといっていいほど日本人を例に挙げる。日本人は製造業で莫大な富をなしたのに、なぜ「失われた20年」になってしまったのか。 それは、蓄積された資本の「生産性」がなかったからだ。 日本人は、お金を銀行の預貯金または不動産に投資した。それらの富は自ら「仕事をしない」富であったということだ。 そして、現在銀行の預貯金はマイナス金利になり、貯蓄するだけバカを見た。そう考えると日本はが金融リテラシーが低い。
それなのに、韓国はその日本に追従しようとしているというのだ。少子高齢化だけでなく、金融リテラシーの低さまで日本について行ってはならないと主張する。 そうした呼びかけもあってか、今年のコロナ禍による株大暴落を経験した韓国の個人投資家たちは、暴落した株を買い求め、そして株へどんどん資金が集まってきた。 株を通じて財テクおよび経済早期教育を始めた「パパアリ(お父さん個人投資家)」も増えている。 それだけでなく、祖父や祖母までも株で孫にお小遣いをあげるというケースも増えた。 韓国経済新聞が韓国内の7つの証券会社に新規で開設された未成年者口座を集計した結果、昨年3万4835口座から今年は31万554口座と、791%急増した。史上最大である。 従来、子供たちにシードマネーを持たせる場合はそのほとんどは預貯金であった。 預貯金の金利はほとんどゼロに近づいており、それに比べサムスン電子株は配当金だけで約2%と預貯金よりずっと割りが良い。 そのため、優良株であるサムスン電子、ネイバー(韓国最大のIT会社)など、また米国株にも目を向けテスラやアップル株などを買い与えている。 韓国では未成年者には10年ごとに2000万ウォンまで贈与税がかからないため、生まれて間もなく2000万ウォン分を買い与え、10歳になったらもう2000万ウォン分を買い与えることができる。
これまでは財閥や富裕層でこうした株の贈与があり、毎年、未成年者だけを対象にした株主ランキングもある。こうしたことは、少し白い目で見られがちであった。 しかし、今年は富裕層でなくてもこうしたことを始めることによって一般化しつつある。 株のブームは書籍部門でもこれまで財テクは不動産が中心であったのに、今年は株入門編から始まって株に関する書籍が売れに売れた。 ユーチューブ、ブログも株に関する財テク関連が好調だった。 ユーチューブチャンネル「三プロテレビ_経済の神と共に(チャンネル開設約1年で約100万人のチャンネル登録者数をかかえる)」は、どの地上波よりも経済コンテンツ(特に株)が優れていると評価され、ここに呼ばれた専門家たちはたちまち有名人になるという“偉業”も作り出した。 こうしたブームに乗ってか、スーパーアリ(最低資産100億ウォン以上保有の個人投資家)たちもチャンネルを開設し、それぞれのコンテンツを紹介している。 今年の韓国はコロナ禍で経済はずたずただったが、株の世界は全く別世界のように最高値を更新するかつて例を見ない変化の年であった。
アン・ヨンヒ
https://news.yahoo.co.jp/articles/7fdd4780d35183f132112a9e8f5c04afaa997091?page=2
JBpress
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