新型コロナウイルスの起源を探る世界保健機関(WHO)の国際調査団が14日、最初に集団感染が確認された中国湖北省武漢市に到着した。ウイルスの起源は中国側の厳しい情報統制もあり、謎に包まれたままだ。WHOによると、調査団は感染対策として2週間隔離された後、中国側と合同で調査を開始。感染経路をさかのぼり動物から人に感染したとされるメカニズムの解明を目指す。

 調査団は日本を含む世界各国の人獣共通感染症の専門家ら約10人で構成。うち2人が抗体検査で陽性だったために経由地のシンガポールで足止めとなった。当初は1月初めに入国予定だったが、中国が受け入れを拒否。WHOのテドロス事務局長が「大変失望している」と表明していた。  調査団は、隔離期間を含め5~6週間ほど滞在するとみられている。中国の専門家と研究成果や標本などを共有する体制の構築も目指す。中国の国家衛生健康委員会によると、隔離期間中もテレビ会議方式で双方が意見交換するという。  焦点の一つは、最初に集団感染が確認された武漢市の海鮮市場の現地調査が実現するかだ。WHOは2020年2月にも別の調査団を武漢に派遣したが、海鮮市場には立ち入れなかった。中国側の調査では、初期の患者の中には海鮮市場との接点が確認されないケースもあり、市場が発生源かは不透明な部分もある。  新型コロナは、過去に雲南省の洞窟でコウモリから見つかったウイルスに近いとされる。さらに別の動物(中間宿主)を介して人間に感染した可能性が指摘されており、調査団にはこうした動物の特定につながる成果が期待されている。  ただ、調査団メンバーで独ロベルト・コッホ研究所のファビアン・レンデルツ氏はAFP通信に「最初の訪問で決定的な成果を持ち帰るようなことは期待しない方がいい」と述べた。  一方、中国側は感染拡大の責任追及につながる事態を極度に警戒し、国内の起源調査を「封印」してきた。AP通信によると、中国政府は20年2月、国内の大学などに新型コロナ関連の標本やデータの対外共有を制限し、研究論文の発表に国の審査を求める通知を出していた。  中国の王毅国務委員兼外相は1月2日の中国メディアの取材に「感染が世界各地で(同時期に)始まった可能性を指摘する研究が増えている」と指摘。国家衛生健康委員会の報道官も13日の記者会見で「WHOも、他の国や地域で同様の調査が必要とみている」と述べ、中国を狙い撃ちする調査とならないようけん制した。  こうした中国の姿勢に、WHOで緊急事態対応を統括するマイク・ライアン氏は11日の記者会見で、「感染症の起源を理解するということは、責任を負わせる人を見つけることではなく、科学的な答えを見つけることだ」と強調した。【パリ久野華代、北京・河津啓介】

https://news.yahoo.co.jp/articles/5adbeb48ea4ddb458fd95d0839c01f7ac712c97b

毎日新聞

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