<煮出した「お茶」を静脈注射したところ下痢や吐血の症状が。臓器損傷が確認され集中治療室に運ばれる羽目に>

幻覚作用のある「マジックマッシュルーム」の汁を静脈注射したアメリカ人男性(33)が、多臓器不全を起こして入院した。

入院は22日間に及び、このうち8日間は集中治療室(ICU)だった。病院側が検査を行ったところ、男性が摂取したキノコ「ミナミシビレタケ」が「血液の中で育っていた」という。 アリゾナ州フェニックスにあるクレイトン大学医学部の研究者たちが、コンサルテーション・リエゾン精神医学会の機関紙にこの男性の症例について研究報告を行なった。男性は双極性障害を患っており、静注薬物の使用歴があった。 男性の家族は、男性が医師に処方された向精神薬を服用しないことがよくあったと研究者たちに語った。服用すると、うつ状態と躁状態を繰り返すことが多かったからだという。 また報道によれば、マジックマッシュルームを自分の血管に注射する前、男性はオピオイド依存症とうつ病の治療法について色々と調べていた。その中で、ネット上に複数の人物が「幻覚剤のLSDや幻覚作用のあるきのこを少量摂取したら治療効果があった」と書き込んでいるのを見つけたという。 <キノコの力恐るべし> そこで男性は、マジックマッシュルームを煮出して「お茶」をつくり、それを濾して自分の静脈に注射した。するとその後の数日間で、倦怠感や黄疸、下痢や吐血などのさまざまな症状が出始めた。研究報告によれば、見つけた家族が病院の救急外来に連れて行った時、男性は「ひどい混乱状態」に陥っていたという。 病院のスタッフが検査をしたところ、男性には腎機能障害や肝障害など、複数の合併症が見つかった。多臓器不全と診断されてICUに運ばれ、点滴や抗生物質、抗真菌薬を投与された。その後もさらに敗血性ショックや急性呼吸不全を起こし、気管挿管が行われた。 血液検査を行ったところ、男性は細菌と真菌に感染しており、血中でミナミシビレタケが育っているのが確認された。 その後男性は症状が改善して退院したが、研究報告の執筆時点ではまだ、ミナミシビレタケが血中で育つのを防ぐための抗真菌薬をはじめ、複数の薬を服用していたということだ。 精神活性物質の(幻覚作用を持つ)シロシビンを含むマジックマッシュルームは、通常は口から摂取されるが、まれに静脈注射される事例が報告されている。

使用について「教育が必要」と研究者

今回の男性の場合は明らかに使い方を間違えて健康に悪影響が及んだが、研究報告の著者たちは、シロシビンは心理療法と合わせて(適切な方法で)使うことで、一部の精神疾患の治療に有効な可能性があることが確認されていると指摘する。これまでに不安神経症やうつ病、薬物乱用や強迫性障害の治療にマジックマッシュルームを使用し、効果を検証する試験が複数行われている。 「ここで報告した症例は、シロシビンをはじめとする薬を、処方された以外の方法で使用することに伴う危険について、一般市民への教育が必要であることを示している」と研究チームは報告書で指摘した。 「ミナミシビレタケなど精神活性成分を含むキノコを静脈注射することで、同じキノコを口から摂取するのと同じように、知覚力や認知力にも影響を及ぼす持続的な精神活性効果が得られるかどうかは分かっていない」

https://news.yahoo.co.jp/articles/f051ae683b3731cd974c6adbc867f4d066a3b9f0?page=2

ニューズウィーク日本版


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