バイデン米新大統領は20日の就任早々、トランプ政権が自国第一で推進してきた内政・外交政策を矢継ぎ早に転換する。新政権発足10日間、100日間と目標を定めて国民に「脱トランプ」を印象づけ、米国の「再建」に向けて好スタートを狙う。  ◇政策転換の10日間  政権発足最初の10日間は、議会の承認が不要な数十本の大統領令や関連文書に署名する見通し。地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」への復帰や、イスラム諸国を対象にした入国制限の撤回など、オバマ元大統領時代への原状回復を図る。  政権中枢には、国務長官候補のブリンケン氏やサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)ら「オバマ時代」の同僚を集めた。経験者が少なく無秩序を露呈したトランプ政権初期の人事とは異なり、チームワークを重視して円滑な政権の立ち上がりを狙った。  一方、新味のなさから「オバマ政権3期目」(米メディア)とやゆする声も聞こえてくる。ブリンケン氏やサキ大統領報道官らはトランプ政権時代、CNNなどリベラル系メディアのコメンテーターとして活動していた。トランプ大統領支持者からは「トランプ氏が否定したエスタブリッシュメント(既得権益層)そのもの」という批判もくすぶる。  ◇危機克服の100日間  バイデン新政権は、40万人の犠牲者を出した新型コロナウイルスの収束に向け、最初の100日を勝負期間と位置付ける。100日でワクチン1億回分の接種を実現し、この間のマスク着用を「国民の義務」と呼び掛ける。バイデン政権高官は「トランプ政権から受け継いだものは想像を超えて最悪だ」と述べ、ワクチン供給体制などの不備を批判する。  バイデン氏はコロナで広がった経済格差是正にも意欲的だ。「この数カ月で私たちが下す決定は、米国の繁栄が全ての人に利益をもたらすか、一部の人にとどまるかを決める」と語る。  公職経験ゼロだったトランプ氏と対照的に、40年以上の政治経験を持つバイデン氏は、野党との協力にも自信を持つ。しかし「米国救済計画」と題して発表した追加経済対策に「最低賃金引き上げ」などの政策が盛り込まれたことに、野党共和党は反発。バイデン氏がコロナ対策と格差是正の二兎(にと)を追えば、政策実現が滞る恐れもある。  ◇「米国再建」の4年間  バイデン氏の選挙スローガンは「ビルド・バック・ベター(より良い再建を)」。米国を再び偉大にすると訴えたトランプ氏とは異なる形の「米国再建」を、今後4年間で目指す。  大規模な投資による製造業復活などはトランプ氏の手法に似る。一方、軍事・経済面で影響力を増す中国に対しては、日本など同盟国との連携と国際社会の圧力で対抗。1対1の「取引」にこだわったトランプ氏と異なり、息の長い外交努力を重視している。  バイデン氏は「すべての米国民の大統領になる」と語り、社会の分断で傷ついた米国の団結を訴える。アメリカン大学のカート・ブラドック助教は「(社会分断の)怒りはトランプ政権前からあったが、これが日常化し、憎しみになった」と指摘し、道は険しいと予想する。(ワシントン時事)

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時事通信


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