伝家の宝刀「反日扇動」再び

 「今回の選挙もやはり韓日戦だ」  「(国民の力の)親日DNAが再び発動した」  最近、共に民主党から、韓国国民の「反日世論」を刺激しようとする発言が相次いでいる。

【写真】日本人は知らない…韓国で本当に起きている「ヤバすぎる現実」

ソウル市長、釜山(プサン)市長の補欠選挙を約50日後に控え、文在寅(ムン・ジェイン)政権や与党の支持率が下落し、与党有力候補が「国民の力」候補に押されている状況で、伝家の宝刀「反日扇動」を再び抜いたのだ。  昨年4月の総選挙で、政権与党は保守野党の「国民の力」を「親日」というフレームに追い込む選挙戦略を駆使した。文在寅政権に入って悪化した日韓関係が、むしろ文政権にとっては選挙の好材料になったわけだ。  日韓の対立が最高潮に達した2019年7月、文在寅大統領の長年の同志である楊正哲(ヤン・ジョンチョル)氏が代表を務めた共に民主党のシンクタンク『民主研究員』は、日韓の関係悪化が総選挙で民主党に有利に作用するという趣旨の報告書を作成して物議を醸した。  総選挙直前には民主党選挙対策委員会戦略本部が全国の与党候補の選挙キャンプに配布した『21代総選挙戦略広報遊説マニュアル』の中で「今回の選挙は日韓戦だ」と言及、野党候補を親日に追いやる戦略をそれとなく提示した。  結局、この戦略が効いたのか、与党は180議席という大勝を手にし、その後、野党を徹底的に排斥しながら、政権の宿願事業を強硬に推し進めてきた。  しかし、コロナ・パンデミックや所得主導成長の弊害によって経済不況や失業問題が日々深刻化し、不動産価格の急騰が政権の足を引っ張る中、政権支持率は30%台に落ち込んだまま、なかなか回復せずにいる。  このような状況で、共に民主党は必勝戦略で、国民の力の金鍾仁(キム・ジョンイン)代表の日韓海底トンネル建設推進の発言にけちをつけ、再び反日世論を動かそうとしているのだ。

加徳島新空港+日韓海底トンネル構想

 共に民主党は、4月7日に行われる市長選挙のため、ソウルでは大規模な住宅供給を、釜山では加徳島(カドクド)の新空港建設を選挙公約に掲げた。特に新空港建設は、釜山で劣勢を免れない共に民主党としては会心の一撃だった。  盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権下の2006年、韓国政府は、東南圏の新しい空港建設を推進する計画を立て、正式に「検討」に入った。しかし、李明博(イ・ミョンバク)政権の2011年、経済性などを考慮して計画は白紙化された。それが、朴槿恵(パク・ククネ)政権になって再び推進されるようになったのだが、妥当性検討を経て、新空港建設の代わりに、既存の金海(キムへ)空港を拡張することが決定された。  だが、文在寅政権に入って、金海空港拡張について再検討され、安定性や用地不足などの問題からこの計画を突っぱね、新空港建設は再び白紙に戻された。そして、今年4月の釜山市長選挙を控え、共に民主党が加徳島空港建設を公約に掲げたのだ。  共に民主党は、4兆ウォンを超える建設費が予想される大規模工事の加徳島空港の迅速な建設のため、予備妥当性調査などの検証過程を免除する特別法を推進することも明らかにした。  一方、東南圏の盟主である国民の力は、加徳島空港問題で党内世論が二つに分かれた。TK(大邱・慶尚北道)地域の議員たちが加徳島空港に猛烈に反対しているためだ。  朴政権時代、TKでは、密陽(ミルヤン)新空港の建設を主張し、PK(釜山・慶尚南道)は、加徳島新空港建設を推した。それが、慶尚南道にあるが、地理的に慶尚北道からも近い金海空港の拡張が決まり、両地域いずれも納得した。  ところが、金海空港拡張が白紙化され、慶尚北道から遠い釜山最南端に位置する加徳島に新空港を建設することに対し、TK地域の議員らは強く反対している。一方、釜山などPK地域の議員らは、地域経済に貢献できる加徳島空港に積極的に賛成している。  結局、金鍾仁党代表が加徳島空港建設案に対して「積極的に賛成」に転じ、韓国・釜山と日本・福岡間の海底200KMを結ぶ日韓海底トンネル建設も積極的に検討するという、「1+1」公約を主張するに至った。  日本との間で、陸・海・空のすべてを結び、釜山をグローバル物流交通都市に発展させるという抱負を明らかにしたのだ。

所詮は「選挙用」なのか

 国民の力からこの構想が出るやいなや、待ってましたと言わんばかりに、共に民主党議員らの親日攻撃が始まった。  「韓日海底トンネルによって釜山が日本の九州経済圏に編入され、単純経由地になる可能性がある。日本の大陸進出に高速道路を建設する格好だ」 崔仁昊(チェインホ)首席報道官   「韓国より日本の利益になる政策なのに、なぜこの政策を口にするのか分からない。これこそ、利敵行為に近い」 洪翼杓(ホン・イッピョ)政策委委員長   「日本だけが有利にする韓日海底トンネル公約。国民の力は親日党か!」 朴仁栄(パク・インヨン)釜山市長候補  「金鍾仁氏の韓日海底トンネル問題で、今回の再・補欠選挙も前回の総選挙のように韓日戦になるだろう」 鄭清来(チョン・チョンレ)議員  「なぜ、国民の力が前面に出て、島国の日本が大陸と結びつこうとする長年の渇望のために韓国国民の税金を使おうとするのか」 金聖柱(キム・ソンジュ)議員  こうした共に民主党の「親日攻撃」に対し、国民の力は「民主党は日本を敵とみなしているのか」と逆攻勢に出た。国民の力は、過去、金大中(キム・デジュン)、盧武鉉大統領も、日韓海底トンネルの必要性に言及したとして、積極的に反論した。  さらに、セクハラ行為で市長職から退いた呉巨敦(オ・ゴドン)氏が2017年、釜山市長時代に日韓海底トンネル推進のための報告書を発刊した事実も確認された。  しかしながら、国民の力が主張する日韓海底トンネルに対する韓国の専門家らの意見は批判的だ。  韓国側区間の工事だけでおよそ70兆ウォンの工事費がかかると予想される点、1時間前後で行ける飛行機があるのに3時間もかかる海底トンネルを誰が利用するのかという現実的な問題点などを挙げて、現実性がないと診断している。  何より、日韓関係のリスクが急騰している状況で、日本側は、日韓海低トンネルについて全く関心がないだろうという点を指摘しながら、「選挙用」に過ぎないと見ている専門家も多い。

再び文政権に勝利をもたらすか

現在、韓国経済は深刻な負債中毒状況に陥っている。  2017年~2019年までに文在寅政権の3年間、韓国の国家負債は180兆も増え、文政権が終わる2022年まででは440兆ウォンの国家負債が増えると見られている。つまり、2022年の韓国の国家負債は1100兆になる見通しだ。  家計負債は昨年1年間で100兆ウォン以上も増加し計1940兆ウォンとなり、ついに韓国GOPの100%を超えた。家計や公共機関、それと国家負債を全て合計すれば、韓国の負債額は5000兆ウォンを超え、GDPの3倍に迫る勢いだ。 それに加えて、ソウル・釜山市長選挙を控え、再び経済効果の低い大規模建設公約で、政府や公共機関の負債を増やそうとしているのだ。  ところが、財政健全化を主張していたはずの保守野党が突如、選挙に勝つために与党の新空港建設より数十倍の費用がかかる韓日海底トンネル建設を持ち出すという心変わりを見せている。  一方、与党は公約の妥当性や経済性をめぐって論争するのではなく、「親日」「土着倭寇」などのイメージを野党にかぶせる戦略を選んだ。これに唱和するかのように、与党寄りの市民団体は「反民族事業」「親日トンネル」と訴えながら、国民の力の日韓海底トンネル公約を強く糾弾している。  文在寅政権の強力な反日のパートナーである金元雄(キム・ウォンウン)光復会会長は、東京で開かれた2.8独立宣言記念式典で、「親日に根を置いた政権が民族の正当な権利を放棄してきたため、日本が韓国に対して謝罪と賠償を拒否している」と述べ、日本と韓国の保守政党を非難した。  選挙戦のたびに出現する共に民主党と市民団体との「反日扇動コラボ」は、今回の選挙でも、文政権に勝利を与えることができるだろうか。

https://news.yahoo.co.jp/articles/1578675e51ea384e06838ebd2ecb48bc4187d7c2?page=3

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