アラブ首長国連邦UAE)ドバイ首長国の王室は20日、首長の娘のラティファ・アル・マクトゥーム王女(35)は「自宅で世話されている」と発表した。BBCの報道番組パノラマは先に、ラティファ氏が2018年に国外逃亡を図ったものの失敗し、「人質」生活を強いられていると訴える動画を放映していた。 王室の声明には、「王女は今も更正を続けている。適切な時期に公の生活に戻れるよう祈っている」と書かれていた。 ラティファ氏は密かに録画した動画で、命の危険を感じていると話している。この動画がきっかけで、国連による調査を求める声が世界各国で広がっている。 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)はUAEに対し、ラティファ氏が生存している証拠を提出するよう求めている。 また、アントニー・ブリンケン米国務長官はBBCの取材で、この件について調べるつもりだと発言。「我々は人権を真剣にとらえており、状況を注視している。対象が敵対者だろうが競合者だろうが、同盟国だろうが(中略)我々は人権を真剣にとらえ、大統領は人権を外交政策の中心に据えている。アメリカがこの姿勢を貫くと、諸外国には承知してもらいたい」と語った。 一方、王室の声明にはラティファ氏の生存を証明する動画や写真はなく、ラティファ氏の状態に関する説明もなかった。 ■ドバイ王室はどんな説明を?  ドバイ王室の声明は、ロンドンのUAE大使館経由で発表された。 「ラティファ王女に関する報道は実際の状況をまったく反映しないものだったが、報道を受けて王女の無事を気遣ってくれた人々に感謝したい」 「王女の家族は、ラティファ殿下が家族や医療従事者に支えられ、自宅で世話を受けている」 ラティファ氏の父のムハンマド・ビン・ラーシド・アル・マクトゥーム氏は、世界有数の裕福な国家元首。UAEを構成するドバイの首長で、UAEの副大統領も務めている。 ■ラティファ氏の逃亡計画とその後 ラティファ氏は2018年2月、友人の助けを借りてドバイを抜け出し、新しい暮らしを始めようとしていた。 逃亡前に録画された動画では、「私は自動車を運転することも、旅行することも、ドバイを出ることも許されていない」と話していた。 ラティファ氏は船で国外に出ようとしていたが、インド洋で特殊部隊に捕まり、ドバイへと送還。現在もドバイに留められている。 ムハンマド首長は、娘のためを思って行動していると話している。ドバイとアラブ首長国連邦(UAE)はこれまで、王女は家族のもとにいて安全だとしてきた。 しかしラティファ氏は、ドバイに連れ戻されて1年ほどたってからひそかに渡された携帯電話を使い、何カ月間かにわたって動画を撮影した。 撮影場所は唯一、鍵をかけられるドアがあるバスルームの中だった。動画では、以下の様子について語っている。 ・小型船から連れ出される際、「蹴ったり抵抗したり」して兵士たちにやり返した。UAE特殊部隊員の腕にかみつき、隊員は悲鳴を上げた ・鎮静剤を打たれた後、意識を失った。プライベートジェット機の中に運び込まれ、ドバイに着陸するまで目が覚めなかった ・窓とドアが閉じられ、警官が警備する別荘に1人で隔離された。医療や法的な支援は受けられなかった 国連や人権団体の批判 OHCHRは19日、在ジュネーブ国際機関UAE政府代表部に連絡を取ったと発表。 リズ・スロッセル報道官は記者会見で、「今週明らかになった不穏な証拠動画を受けて、状況に対する懸念を伝えた」と説明した。 「生存の証明と、詳細な情報を求めている」 国際人権団体ヒューマンライツ・ウオッチのケネス・ロス会長は、このムハンマド首長は「奇妙な意味で『世話』という言葉を使っている」と述べた。 「ラティファ氏は連絡手段を得た際、長い間たった一人で閉じ込められていると語った。これは一種の拷問だ」 「ラティファ氏が解放されるまで、誰もムハンマド首長の見せ掛けの『世話』など信じないだろう。ムハンマド首長の手から逃れて初めて、ラティファ氏は自由に自分について話せるだろう」 ラティファ氏の解放を目指す「フリー・ラティファ運動」も、ドバイ王室は過去にも同様の声明をだしているが、信じられるものではないと指摘した。 フリー・ラティファ運動は声明で、ドバイ当局がラティファ氏を「拷問し、薬物を投与」している可能性があると述べた。 「今となっては、国連の独立調査チームが直ちにドバイへ向かい、すぐにラティファ氏を訪問する必要がある。ラティファ氏が自ら選んだ国へと安全に移動できるように、強く要求しなくてはならない」と、活動家たちは強調している。

https://news.yahoo.co.jp/articles/0a108760b34e782cc4dca07c55a24f1c773e5397

BBC News


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