◆配給劣悪な上コロナ統制で兵士苦境

北朝鮮当局は軍の将兵に対しても、新型コロナウイルス対策による厳格な統制を実施している。部隊からの外出と民間人との接触を禁じており、親との面会や差し入れも困難になって、劣悪な食事を補う手段が乏しく、栄養失調になる兵士も出ている。咸鏡北道(ハムギョンプクド)の茂山(ムサン)郡に住む取材協力者が軍関係者に接触して、3月10日に近況を伝えてきた。(カン・ジウォン【写真特集】 秘密撮影した北朝鮮女性兵士たちの素顔(10枚) 咸鏡北道は約500キロに渡り中国と国境を接しており、一般軍部隊に加え国境警備隊の大部隊が駐屯している。 国境警備隊は、かつては中国との密輸や越境を幇助したり、目をつぶったりすることで賄賂を受け取ることができ、「稼げる配置先」だった。将校たちは食堂で食事をし、下級兵士たちも余禄にあずかることができた。 しかし、金正恩政権がコロナ流入警戒して中国国境の統制を厳格にしたため、密輸はほぼ壊滅、中国への越境も困難になった。部隊員の相互監視も厳しい。「密輸もできないし地元の民間人とも接触できないため、将校から下級兵士まで、皆が空腹に苦しんでいる」と協力者は言う。 ◆おかずは大根と白菜の塩漬けだけ では兵士たちはどんなものを食べているのだろうか? 取材協力者は軍の補給関係者に会って話を聞き、次のように伝えてきた。 「おかずは塩漬けの大根と白菜だけ。主食はトウモロコシの粉を炊いて出している。国は白米も混ぜて供給しているが量がまったく足りないため、部隊でコメを売って安価なトウモロコシと交換しているが、栄養失調になる兵士が多い」 このように食事の質が悪くなったため、国境警備隊が「迷い家畜」を銃で撃って食べる事件が頻発し、近隣の住民の不満が強まっている。昨年8月、社会安全省(警察)は、コロナ防疫のためとして「国境地帯1~2キロに緩衝地帯を設け、そこに入る者と家畜は無条件、予告なく射撃する」という布告を出した。

◆「迷い家畜」を照準射撃、脱走兵まで

「中国と接する茂山郡では、緩衝地帯に入りこんだ犬やヤギなどの家畜を兵士が照準で狙い撃つ事件が頻発している。2月末には、茂山郡の芝草里(チチョリ)で、放し飼いされたヤギが緩衝地帯に接近したとして兵士が撃ち殺し、自分たちで食べてしまった事件があった。コロナ防疫のために民間人と兵士の接触が禁じられているので、殺した家畜を飼い主に渡そうとしもしない」 このように協力者は言う。 食事のひどさに耐えられず、一般部隊や国境警備隊から脱走者も出ているという。現在、中国との国境地帯では、コロナ防疫のために他の市、郡への移動が禁じられており、脱走兵を連れ戻す任務の将校も出張に出られなくなっており、追って来ないことを見越して脱走する兵士が増えているのだという。 協力者は、知り合いの軍関係者の話として、「茂山郡の部隊では、昨年11月から脱走兵の追跡ができなくなっているそうだ」と語った。 ※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/b94814ce6688d9db8c4d902dc8da520d07a0b17c

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