ジャーナリスト・須田慎一郎が3月28日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送『須田慎一郎のスクープ ニュース オンライン』に出演。日本の対中政策のダブルスタンダードについて解説した。

世界中に衝撃を与えたBBCでの実名・顔出し告発

中国政府による新疆ウイグル自治区における人権弾圧が、ジェノサイド、大量虐殺の定義に当てはまるとアメリカで認定する一方で、日本はそうした表明には慎重である。その裏側には、このスタンスをとるに至った理由が見え隠れする。 須田)この「ジェノサイド疑惑」、“疑惑”じゃなくてジェノサイド“そのもの”だろうと思うのですけれどもね。 新行市佳アナウンサー)はい。 須田)やはり世界中にショックが走ったというか、特に人権に配慮する世界各国が震撼したのは今年の2月初旬、イギリスのBBCがあるニュースを報道したことがきっかけになったのです。そこで、内部告発と言ったらいいのか、その告発をされる方が“顔出し”で実名で登場しまして、こんなことを言ったのです。「私の役目は彼女たちの服を脱がせ、動けないように手錠をかけることでした」……この報道は、新疆ウイグル自治区の施設にいた女性たちの表現をもとに、施設内で組織的な性暴力が行われていたという内容だったのですね。もちろん中国政府は「嘘を広めている」と否定しましたけれども、どうなのでしょう、やはり先ほど申し上げたように、その加害者・被害者がですね、実名で“顔出し”でその証言をしたということで、命のリスクもあったと思うのですよ。そういったリスクを犯して告発に踏み切ったということで、「これは間違いない」「これは本当のことを言っている」という認識が各国に広がって、さまざまなそのなかで動きが起こっていったということですね。

二階幹事長が中国と親しいというだけの問題ではない

須田)やはり、そういったなかでいちばん最初に動いたのはアメリカで、ジェノサイド認定をしたのですね。これに対して世界各国もいろいろな形でこのジェノサイド認定、虐殺認定ということに追随していくのですが、どうも日本の動きが鈍い。 新行)そうですね。日本はジェノサイド条約というのにも入っていないのですよね。 須田)はい。入っていないことを理由として認定をしないというのは、逃げを打っているのと一緒ではないのかなと思うのですけれど、なぜそんなことになっているのか。この手のことについての多くの指摘は、例えば、自民党の二階幹事長を挙げて、“親中派ですよね”“地元の和歌山には何頭もパンダを贈ってもらっていますよね”というものです。二階幹事長がもちろん中国と親しいことは間違いないし、さまざまなパイプ、チャンネルを持っていることも間違いないです。アメリカもそういう認識で、二階幹事長に対して強い興味関心を持っていますけれどね。しかし、だからといって、自民党の幹事長だけの問題ではないのかなと思うのですよ。

日中の外務当局の蜜月関係については事実

須田)いま私の手元に『新型コロナ対応 民間臨時調査会 調査・検証報告書』(一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ・編)というのがあるのですよ。 新行)はい。 須田)これは、もともと福島原発事故の調査で非常に大きな評価を得た民間臨調が第2弾としてつくったもので、この新型コロナ対応で政府あるいは日本の対応は適切であったかどうかを検証したという本なのです。このなかにこういったくだりが出てくるのですね。 まず最初に武漢が中国でロックアウトされましたよね。しかし、当然中国河北省の武漢にはたくさんの邦人、日本人がいたと。その日本人はどうするのかとその対応に政府が迫られていましたと。覚えているでしょうか、そういったなかで日本政府は全日空のチャーター便を武漢に飛ばしたのです。ピストン輸送のようにどんどん邦人の脱出を図ったと。 あそこに取り残されてしまうと、いろいろな形で不利益が……心配でしょうし不安でしょうし、あるいは適切に医療が提供されるのか、食料が提供されるのかという問題があったから、邦人救出に動いたということなのですが、ずいぶん外務省にしてはやることがスピーディだなあと、外務省もやるときはやるではないかと、当時そういう認識を私も持っていたのですよ。 このあたりは日本の外務省と中国共産党・中国サイドの緊密なやり取りがあったのだろうなと思ったのですが、実はこの民間臨調が作った調査報告書では、外務省に対してもきちんとヒアリングを実施して、調査を実施してこの記述があるのですが、すこし読んでみますね。 『外務省幹部は、本オペレーションの基礎には、ここ数年間における良好な日中関係があったと語る。当時、武漢では30カ国3近い国々がチャーター機の運航を働きかけていた中で、1月29日から3日連続でチャーター機を飛ばすことができた国は日本だけだった。』 ~『新型コロナ対応 民間臨時調査会 調査・検証報告書』P101(一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ・編) 須田)“本オペレーション”とは、つまり武漢からの邦人救出ですね。危機が迫っているなかで、やはりそこに自国民がいる国はどうやって救出しようかというところは心配の種だったのですが、日本だけがこのスムーズにそしてスピーディに早期に救出できたというのは日中間の親密な関係があったと。外務省ってけっこう中国にそういった緊密な関係を持っているではないかと、あるいは外務省がいろいろな意味で中国に対してネガティブな動きになるような部分については外務省がいろいろと動いて、日本がそういうことをしないようにやっているのだろうなということが強く伺える記述なのですよ。 もちろん私は裏を取りました。何人かの外務省関係者。1人は外務省有力OB、あるいは2人の外務省幹部に話を聞きました。ここに書いてあることは事実だと認めていましたね。つまり日中の外務当局の蜜月関係については事実だと認めました。

中国との親密な外交関係のもと、虐殺行為を見て見ぬふりしてよいのか

須田)先ほどのジェノサイド認定のことを考えてみると、さまざまな映像であるとか証言が出てきているわけで、あそこでは大変なことが起こっていると認識されているわけですよ。世界は共同歩調をとっているにも関わらずなぜ中国に対して強く出ないのか。新疆ウイグル自治区の住民に対しての、あるいはウイグル人に対しての虐殺、反人権的な行動を辞めさせるためには国際社会が協調する必要があります。そのためには日本もその一員に加わらなければならないのに、日本だけ腰が引けている。その背景には日中間の蜜月な、非常に親密な外交関係があったとすれば、それでいいのですか? と。 確かに武漢からの救出はスムーズに進みましたよ。だからといってですね、こういった虐殺行為が行われていることを見て見ぬふりをするというのもおかしな話ですよね。

実は“武漢”に垣間見えた、日本政府がジェノサイド認定に尻込みする理由~中国のウイグル弾圧(ニッポン放送) – Yahoo!ニュース

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